ペンギンを知る。地球のことを考える。 - ペンギン・スタイル事務局ブログ


ブラジルに漂着したマゼランペンギン、なぜ若鳥ばかり?

こんにちは、PENGUIN STYLE 事務局のヒラカワです。

前回の記事でご案内させていただいた、
マゼランペンギンがブラジルに大量に漂着したというテレビ番組の特集、
本当にショッキングな内容でした。

番組をご覧になったペンギンファンのmiyupenさんより、以下のコメントをいただきました。

メルマガでのお知らせありがとうございました!
教えていただかなかったら見過ごすところでした。

番組中で触れられなかったのですが、見ていて気づいたことがあります。
それは漂着していたペンギンのほとんどが幼鳥っぽかったことです。
マゼランペンギン特有の胸の二本線がはっきりしてない若い鳥たちでした。
若さ故、海流に乗って行ってしまったのでしょうか?

リハビリ後自然に放流されて、野生生活に戻れることを祈って止みません

miyupenさんが仰るとおり、映し出されていたペンギンは、すべて若鳥たちでした。

この件について、上田先生に質問させたいただいたところ、以下のようなご回答をいただきました。

ご質問の件ですが、この方は素晴らしい観察力と知識をお持ちだと関心しました。

あの時、映像で紹介されたのは、確かに全て「成鳥」ではなく、「亜成鳥」つまり「幼鳥」または「若鳥」でした。
マゼランペンギンの場合、羽毛が完全に「成鳥」の状態になるまでに♀で3〜4年、♂で4〜5年かかります。

しかも、あの映像にあった個体は、ほとんどが今年巣立ったか2歳未満の「若鳥」でした。
マゼランペンギンは、巣立った後、数年間(3〜5年間)は、生まれ育った繁殖地(その殆どはチリ〜アルゼンチンにあります。フォークランドの場合もあります。)から遠く離れた海上や海岸で過します。

この間、特に南半球の冬(6〜9月)には、大西洋を北上する南極からの寒流に乗って移動する魚(主にイワシのなかま)を追って大西洋を北上するのです。
これをマゼランペンギンの「回遊」と呼びます。
この時、南東からの貿易風が強いと体力のない「幼鳥」や「若鳥」は西に流されてしまうのです。

そして、寒流からそれてブラジル沿岸を南下する暖流につかまってしまうと、食べ物がとれず、飢え、体力が落ちて泳げなくなり、ブラジルの海岸に打ち上げられるのです。
このような現象は、ほぼ毎年繰り返されており、平均100羽がブラジルの海岸に漂着します。

しかし、これまでは、最も多い年でも500羽でした。
1200羽以上という数は、通常では考えられない異常事態です。
何か「これまでにない異常なこと」が大西洋で起こっていると考えざるを得ません。

一方、漂着したマゼランペンギンの「若鳥」達は、体力が回復するまで飼育下で過すわけですが、その過半数は「鳥マラリア」や「趾瘤症」、あるいは「アスペルギルス」で死んでしまいます
また、各地の動物園等に寄贈されるものも多いようです。

体力を回復し、生き残った個体は、南方に移送され(ブラジル海軍の艦艇が協力するようです)自然に還されます。
これを「野生復帰」と言います。
無事野生復帰できる個体は、最大でも漂着した個体全体の10〜20%程度だと考えられます。
(あの映像のように、人間に救護される幸運な個体は、全漂着個体の多分半分くらいだろうと思われます。)

上田先生には、以上のような大変詳細なご回答をいただきました。
本当にありがとうございました。

上田先生が仰る「これまでにない異常なこと」が大西洋で起こっているとしたら、
ダイレクトに被害を受けるのは、ペンギンをはじめとする海鳥や、イルカなどの海洋生物たちです。

この事態に際し、私たち日本人ペンギンファンも何かアクションを起こしたいと思います。
詳細が決まり次第、PENGUIN STYLE サイトと、当ブログにてお知らせいたします。

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コメント / トラックバック 4 件

  1. white-flipper より:

    野生復帰が1割から2割とはとても少ないですね。ワクワクしながら海へ旅たったペンギンの気持ちを考えるとかわいそうでなりません。
    >この事態に対し、私たち日本人ペンギンファンも何かアクションを起こしたい
    大賛成です。
     ほかにも、ケープペンギンや、キガシラペンギン、等等私たち人間の所行のために保護活動が必要なペンギンはたくさんいます。しかし、今、群を抜いて取り組まないといけないのは、今回のマゼランペンギンだと思います。
     人任せで申し訳ありませんが、詳細を楽しみにしています。

  2. ペンギン・スタイル事務局 より:

    white-flipperさん
    コメントありがとうございます。

    野生復帰が1〜2割というのは、私にとっても衝撃の事実でした。
    white-flipperさんの仰るとおり、
    ペンギンたちのことを思うと、何とも言えない気持ちになります。

    今回のマゼランペンギンをはじめ、保護活動が必要なペンギンはたくさんいますよね。
    遠く離れた日本とはいえ、ペンギンを愛する気持ちがあればこそ、
    いろんな取り組みができると思っています。

    近いうち、詳細をお伝えできると思います。
    その際は、どうぞよろしくお願いいたします。

  3. miyupen より:

    PENGUIN STYLEさま、上田先生、私の疑問に答えていただいてありがとうございました。
    ペンギンについてはまだまだ自分が知らない習性が多くある事がわかりました。
    温暖化で氷が溶けたら南極のペンギンが危機だという話は良く聞きますが、それ以外にもいろいろな地方のペンギンを追い詰めている「何か」があるのですね。
    「はぐれペンギンを軍が輸送」みたいな世界ビックリニュースをネットで見かけますが、よくある事だったのですね。

    ペンギンたちを救うために何か出来ると良いですね。
    自分が手伝える事があれば喜んで参加したいと思います。

  4. ペンギン・スタイル事務局 より:

    miyupenさん
    コメントありがとうございます。

    ペンギンたちの危機は、種ごとに原因や状況が異なるようです。
    マゼランペンギン同様、ケープペンギンも重油による被害がありましたし、南極やその周辺のペンギンたち(エンペラー、キング、アデリー、ヒゲ、ジェンツーなど)は、種によって減少傾向に違いがあるそうです。その他、イエローアイド(キガシラ)も危機的状況ですよね…。

    野生のペンギンたちのため、私たちの身近にいる動物園・水族館のペンギンたちのため、PENGUIN STYLEでは今後さまざまなアクションを起こしていきたいと思います。

    >ペンギンたちを救うために何か出来ると良いですね。
    >自分が手伝える事があれば喜んで参加したいと思います。

    ありがとうございます。
    とっても心強いです!
    どうぞよろしくお願いいたします。

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「ペンギンを知る。地球について考える。」がテーマの[PENGUIN STYLE]というペンギンポータルサイトの運営事務局です。ペンギン情報、動物園・水族館情報、国内外の自然保護に関するトピックスなどを発信していきます☆

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